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庭に咲いた「コデマリ」。
先日読んだ本にこんな話が載っていた。
僕は正信。今年で30歳になった。
大学の3年の時、いまいち仲が良くなかった父が入院する事になった。
「まぁ、いつまで入院するかわからないけど 一応、別れの杯だ、飲もう!」なんて冗談めかして言っていた。こんなの初めての事。
ワインの収集が趣味だった父は、取って置きのワインを開けて、僕と自分に次ぎ分け乾杯した。
母も珍しいこともあるもんだねぇと言って、セルフタイマーを使い家の中で家族写真を撮った。
父と初めて対座して酒を酌み交わすってのが、なんとも居心地が悪いもので、すぐに酔ってしまった。
父は「これじゃぁ、酒でまだお前に負けることはないな」
と嬉しそうに笑っていた。
そして入院。
父の病気は末期の食道癌で、家に帰ることなく闘病4ヶ月であっけなく逝った。
あれが最初で最後の父と息子の晩酌だった。
父の遺品を整理していると、納屋からワインが何本か出てきた。
ラベルを見ると、何か文字が書いてある。
「正信、大学卒業用」
「正信、就職時用」
「正信、結婚時用」
その瓶を抱いて、僕はずっと泣きじゃくっていた。
今では、父の命日に赤ワインを開けて、父を思い出すようにしている。
僕はもう結婚をし子供も授かったが、父の残した結婚時用のボトルは空けてない。
大切な宝物だ。 子供の結婚式用に取っておこうと思っている。
もっともっと酒を教えてもらえばよかった。
今度は天国で一緒に飲もうな。
チョコボも、今度息子と飲もうかな。。。
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